◆胸きゅんすぎた直秀

『光る君へ』第8回 (C)NHK
 一方、直秀は東三条殿に招かれ、道長や公任(町田啓太)たちと共に酒を飲み交わしていた。打毬の打ち上げと言ったところか。

 直秀の腕にある矢傷を観た道長は、わずかに違和感を抱いていた。直秀に尋ねるが、散楽の稽古中にしくじっただけだ、と返される。

 違うならそれでいい、と言わんばかりに道長はそれ以上は問わない。

 しかし、直秀はそろそろここにはいられないことを感じているのかもしれない。まひろには都を離れることを口にする。

 都の外の世界の話をし、まひろの表情を明るくさせる直秀。好奇心旺盛なまひろには直秀の言葉が輝いて見えるだろう。

 都が全てではない、都は山に囲まれた鳥かごだ、と言う。

 そして直秀はまひろに「一緒に行くか」と問いかける。まひろも戸惑いつつも「行っちゃおうかな」と答えるが、フッと笑い、「行かねえよな」と突き放す。

 「一緒に行くか」と言う前に一瞬見せた決意の表情、問いかける瞬間の真剣な表情。でも、その本音を覆い隠すように微笑む。

 まひろのことを愛らしく思い、共にいたいという気持ちはある。しかし、まひろの相手が自分ではないことも知っている。

 道長とのハッピーエンドも望みたいが、「もうこの姫を連れて行ってください!!」と言いたくなるシーンだ。

 そんな矢先に、東三条殿に忍び込んだ盗賊たちが捕まる。その中にはもちろん直秀もいた。道長は、盗賊・直秀と対面してしまう……。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】

大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ