◆体が衰えていく役や難役に取り組む真面目さ
野球部出身のスポーツマン的な人物である水上は、ひたむきな役にハマる。素顔も「真面目過ぎてつまらない、と言われる」と、2023年暮れ、『トークィーンズ』(フジテレビ系)に出演したとき、語っていた。
真面目な部分は、真面目に推し活動する愛助にぴったりであったが、あまりにも心身が丈夫そうなので、体の弱い愛助役は合わないのでは? という疑問もあったが……。
実際、結核で長患いしている文化系な人物という設定にしては、ガタイが良すぎることは否(いな)めなかった。だが彼は、愛助が健康な頃から亡くなるまでの期間が、順撮りでもないにもかかわらず、いろいろ工夫して、次第に体が衰えていく役を切々と演じきった。
水上が岡田健史であった頃、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した作品に『望み』(20年/堤幸彦監督)がある。このとき、筆者はオフィシャルライターとして現場の取材をしていたのだが、彼はやはり実に誠実に取り組んでいて、感心したものだ。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、おいそれとネタバレできないほど、展開に重大に関係してくる難しい役で、それを演じるうえで、ひじょうに真面目にある状況を演じることに向き合っていた。パンフレットのインタビューでの口調に、とことん真面目な人なのだと、そのとき感じた。
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