◆2025年大河ドラマへの期待

 潜水艦の副長役で出演する『沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~』(Amazon Prime Video、2024年)もある意味、三島由紀夫的なテーマを象徴する作品だ。日米共同計画である原子力潜水艦シーバットが、艦長・海江田四郎(大沢たかお)によって反旗を翻し、独立を宣言。その右腕が、中村演じる副長・山中栄治。

 白い海軍服の半袖がやけに似合う。任務中、不安な表情を浮かべることは絶対にない。大沢扮する艦長に忠実な眼差しを注ぎ続ける。心身ともに精悍な人物像は、三島好みのサムライのようだ。

 潜水艦内の密室内という狭い社会の中で、外の世界への想像を拡大するような凛々しさもある。

 この最強潜水艦が日米のリーサル・ウェポンであるように、やっぱり中村蒼はジュノンボーイの最終兵器なのだ。

 2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、横浜流星扮する主人公・蔦屋重三郎の義理の兄・次郎兵衞役での出演が決まっている。

『八重の桜』(2013年)以来、12年ぶりの大河ドラマ出演で、最終兵器としての隠し玉が、中村史上最大の名演となって世に放たれることを期待する。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu