◆ジュノンボーイの隠し玉となる“最終兵器”
中村蒼がデビューをつかんだのは、2005年。第18回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでのグランプリ受賞がきっかけだった。2006年、15歳のときに主演した舞台『田園に死す』が俳優デビュー作。
俳優デビュー作でいきなり寺山修司作品かよ。ちょっとびっくりする。でも15歳だから演じられる寺山作品の魅力が確かにある。時代を見つめ続けた寺山のレンズを借りて、デビュー当時の中村が眼差した世界は、おそらくどんな社会派作品よりもかけがえがない社会そのものを写していたはずだ。
デビュー時点で、彼は俳優の立場から社会的役割を担うことを託されてしまった。だからこそ、社会の厳しい現実にあえぐ若者たちの悲鳴を代弁できる。筆者はそんな中村のことをジュノンボーイの隠し玉となる“最終兵器”だと思っている。
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