第1話でも思ったんですよ。太陽くんが事故に遭った理由を、色覚障害で赤信号を緑と見間違えたからという形で描いていたんです。太陽くん、信号機を見たのは初めてじゃないよね? ちょっと考えたら、そんな理由で登場人物を事故に遭わせちゃダメだと思い当たるところなんだけど、ドラマ以前の太陽くんの物語が設定されていないから、こういうことになる。太陽くんという人物の生きている時間が、現在と、高校時代の美しい場面しかない。作り手が登場人物を、連続する時間を生きる生活者だと思ってない。人間扱いしていない。だからこんな簡単に、安易にみんなを傷めつけることができる。

 めちゃくちゃお気楽に、泣かせるためだけに、自分の作ったキャラクターを傷めつけてる。愛がない。作り手に愛がないんだから、見てる側がそのキャラクターを愛せるわけがない。そういうもう、ものを作る大前提の哲学の部分から受け入れ難いんです。

 あと、雨ちゃんのお祖母ちゃんが太陽くんに「私はガンで死ぬから、私の雨ちゃんへの思いを引き継げ」と迫るところも超怖い。なんでも命と引き換えにしたがる神経が怖いんですよ。雨ちゃんには「太陽くんが死ぬから五感を奪わせろ」と迫り、太陽くんには「私が死ぬから雨ちゃんの面倒を見ろ」と迫る。NOと言わせない日本人。まあ、死神が日本人かどうか知りませんけど。

 月曜からこんなもの見せられて、令和のティーンはメンタル大丈夫なのかね。

(文=新越谷ノリヲ)