会では「酒」というお題が出されました。道隆としては、公任が義懐の酒宴に出席したことを私は知っているぞと、やんわり知らせたかったのでしょうか。公任が詠んだ漢詩には政権批判も込められていましたが、道隆は怒ることもなく、「この国をやがて背負うて立つべき若き者たち」が何を願い、何を憂えているかを自分の心にも刻んだと受け止め、「そなたらと共に帝を支えたてまつろう」と場をまとめていました。

 ドラマでは父親の兼家から、何事に対しても踏み込みが足りないと注意されていた印象が強い道隆ですが、逆にそうであるがゆえに人を取り込んでしまう力は父親以上のようです。そんな通隆に一目置かれた藤原公任は、史実でも歌や漢詩の名手として有名な人物でした。

 また、この作文会のシーンでは、注目のファーストサマーウイカさん演じる「ききょう」こと清少納言が初登場しましたね。史実の清少納言と紫式部には、宮中に上がっていた時期が微妙にずれていることから、会ったことはなかったという説もあるのですが、ドラマではかなり早い時期に対面を果たしました。

 ウイカさんは、セリフなどを「もっと優しめに!」と監督から演技指導されたとインタビューで明かしていましたが、映像で見る限り、かなりクセ強めのお嬢さまキャラとして描かれていた気がします。一部では「KY」とも称されていましたが、顔にかかる左右の髪の毛先がピンとハネ上がっていて、彼女の上昇志向を表現しているようで面白かったですね。