──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ
前回の『光る君へ』では、花山天皇(本郷奏多さん)の政治がさまざまな波乱を宮中にもたらしている様子が見られました。花山天皇が抜擢したことで急速に勢力が拡大した藤原義懐(高橋光臣さん)たちの一派に、藤原公任(町田啓太さん)ら「平安のF4」のメンバーまでもが接近していることを道長(柄本佑さん)から伝えられた右大臣家の藤原道隆(井浦新さん)は、公任らを自邸に招き、「漢詩の会」こと作文会(さくもんえ)を開催しました。
泥酔した義懐が、公任たちを取り込もうと酒で接待する姿は下品でしたが、やはりそういう義懐たちと、宮中でも屈指の名門出身の公任たちが本当に馴染めるわけがないことを道隆は見抜いていたのでしょう。自邸で「漢詩の会」という優雅なイベントを開催し、漢詩を通じて彼らから政などの不満をそれとなく吐き出させた上で、さらにお土産に高価な装束を持たせるなどして懐柔したようです。