◆「特別編」では何かが明らかになるのだろうか

「人の家庭をめちゃくちゃにしておいて」と楓は言ったが、家庭をめちゃくちゃにしたのはみちではなく、夫の誠である。誠自身も言っていたが、彼が「一方的に精神的支えを求めてしまった」のだ。見ようによってはみちが引きずられたとも言える。だが、ふたりは最後まで体の関係をもっていない。レスが引き金となって他の異性に走りながら、結局、そちらもなにもないままに終わった。

ドラマ『あなたがしてくれなくても』
 制作スタッフが9年前の『昼顔』と同じだったらしいが、『昼顔』が不倫を真正面からとらえ、強く惹かれ合う男女の愛を濃厚に描いたのとは対照的に、今回は愛と人生に迷える30代の心情が中心になっていた。ドロドロしないのは「今風」なのかもしれない。次回の「特別編」で何か新たに明らかになることがあるのだろうか。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio