◆みちにとっての陽一と誠の違い

 ある日、みちは陽一の喫茶店を訪ねる。元夫が独立の準備をしていることも、バイクで事故ったことも彼女は知らなかった。なぜか少し動揺しているように見えるみち。ふたりはそのまま、今も陽一が住んでいる自宅に行き、彼がはまっている影絵を作って遊んでいる。このときのふたりは本当に楽しそうだ。誠と相対していたときのみちとは違う。陽一は心許せる元夫なのだろう。

 そういえばみちは、以前、後輩の華(武田玲奈)に「先輩、友だちいないんですか」と聞かれて「そういえば、何でも陽ちゃんに言ってた」とつぶやいたことがある。みちと陽一の馴れそめは、みちの一目惚れなのだ。毎日のようにコーヒーを飲みに来て、陽一を誘ったのはみちだった。いつのまにか、母と息子のような関係になっていたが、そもそもはみちの恋心がふたりの関係のスタートだったのだ。