◆タイトルを回収した、完璧ともいえるラスト

語らずにいられないのが、12月17日に放送された最終回ラストのシーン。解釈は観る人によって分かれるとは思うものの、描き方としては実に秀逸だったと思います。

またいつ記憶をなくすかも知れない空。そんな空と一緒に生きていくことを決め、美璃と空は結婚。子どもも授かります。ラストはたっぷりと余白を残し、記憶を再びなくしたと思われる空が、寄り添う美璃の手をそっと握り返すところで終わりました。そこに台詞はありません。「何度記憶をなくてしも、空は空だから」という美璃の言葉と、記憶忘れてもまた美璃を好きになったから「自分の身体を信じることにした」と話した空の言葉が思い出されます。

そして最後、美璃を見つめる空が「たとえあなたを忘れても」……と、声にならない言葉を残しているようにたっぷりとした余韻のなかで幕を閉じたのです。心に残る作品でした。

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良作が多かった2023年の秋ドラマ。皆さんも、お気に入りの作品が見つかりましたか? TVerなどの見逃し配信サービスでも多くの過去作品が公開されているので、冬休みにじっくり観返してみてはいかがでしょうか。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】

tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201