◆破綻のない設定と丁寧な人間描写が美しかった

ラブストーリーという以上に、登場人物たちにリアリティがあったこともよかったポイントだと思います。みんなが夢を叶えてキラキラした人生を歩んでいる訳ではない。挫折や病気、人間関係や仕事などで上手くいかないことがあったとしても、対峙しなくてはらない現実がしっかりと描かれていました。

はじめは描かれる厳しい現実に、心が痛むこともありました。だからこそ、登場人物の一人ひとりが、大切な人を思いやりながら、悩みながら生きていく姿がやたらと沁みたのかもしれません。「記憶をなくす」という設定も、いわゆるドラマのご都合主義的なものではありませんでした。記憶障害という病としてきちんと丁寧に描かれており、病に至った背景にも破綻がなく、物語の展開が受け入れやすかったです。