清少納言(ファーストサマーウイカさん)の『枕草子』で美化されている一条天皇の治世ですが、実は疫病や火事のせいで不穏で悲惨だったというような話を今回はしたいと思います。
ドラマの冒頭、オープニングテーマの前に「正暦四年(993年)」という文字が出ていましたが、まさにこの年、平安京を謎の疫病が襲った記録が本当にあるんですね。この年の夏頃から、特徴的な咳をする患者が平安京に溢れたそうです。ドラマの演出上、まひろは咳き込んで意識不明になっていたものの、道長の“愛の看病”のおかげで一晩にして窮地を脱していましたが、本当はそれどころではなかったようですよ。
文献には「咳疫」などの言葉が見られ、人民が皆この病気で苦しんだといわれるほどに大流行を見せました。さらにこの年の秋には、「疱瘡(=一般的には天然痘。本当の病名には諸説あり)」が流行し、世の中は騒然とし始めたのです。
ドラマでは道長が、長兄・道隆(井浦新さん)に疫病対策を迫るシーンが出てきましたが、道隆は「貧民がかかる病気で、我々貴族には関係ない」などと何度も言っていましたし、現代的な観点から具体的な対策をしているとはまったく見えませんでした。また、ドラマでは悲田院に病んだ庶民たちが担ぎ込まれていましたが、そこでもただ寝かせられているだけで、医療施設として機能している感じはありませんでしたね。
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