余談ではあるが、60~70年代のヒンディー語映画音楽を現代ポップスやヒップホップなどとフュージョンさせるスタイルは非常に相性が良く、最近も映画『愛しのモニカ』(2022)の作中曲『Yeh Ek Zindagi』の中で、映画『キャラバン』(1971)の『Piya Tu Ab To Aaja』がサンプリングされている。また、アミターブ・バッチャンの大ファンだというカナダのアーティストのRaghavが『デスペラード』を発表。同じくアシャ・ボスレが歌う『Yaadon Ki Baaraat』(1973)の『chura liya hai tumne jo dil ko』をサンプリングした曲で、世界的に注目されている。

一方で、ヒンディー語吹替え版では、タマンナーではなく、『ブラフマーストラ』(2022)にも出演していたモウニー・ロイの『Gali Gali』(歌はネハ・カッカー)に差し替えられている。もちろん曲は素晴らしいのだが、こちらは逆に近代的になり過ぎてしまっているので、やはり映画として観るには、オリジナルのカンナダ語版をおすすめしたい。

『K.G.F』シリーズに登場するキャラクターは、主人公も含め、誰もがクセ者なのだが、その中でも異質な存在ともいえるのが、『K.G.F:Chapter 2』から登場するアディーラというキャラクターだ。

『火の道』(2012)や『SANJU/サンジュ』(2018)などに出演するボリウッドスターのサンジャイ・ダットが、一度は断った監督のラブコールを受けて演じているのが、このアディーラだ。カナダのドラマ『ヴァイキング ~海の覇者たち~』のラグナルが元ネタとなっていることもあって、ギャング抗争の中に異質なキャラクターが飛び込んできたような印象を受ける。