──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

『光る君へ』第8回「招かれざる者」は、まひろ(吉高由里子さん)の父・藤原為時(岸谷五朗さん)になぜか、今頃になって接近してきた藤原道兼(玉置玲央さん)が目立つ回だったと思います。道兼は父・兼家(段田安則さん)の命じるがままに動く存在ですから、昏睡から時折目覚めては威圧するという兼家からの指示通りなのかもしれません。兼家が倒れたのは、「これより帝をお諌めに参る!」と意気込んだ時でした。病床で、どうしたら花山天皇(本多奏多さん)を早期退位に追いこめるかを考えていたとしても、おかしくはないでしょう。

 しかし、ドラマで憎まれ役といえば藤原道兼というくらいの存在だったのに、病床でまともに動けないことにイラついた父親から八つ当たりされたと思しき腕のアザを見せ、しおらしげに振る舞い、醸し出す空気を一変させていた玉置玲央さんの演技はよかったですね。