ああ、と思ったんです。ああ、この期に及んでまだそっちの話なんだ。プロデューサーとしてこの記事が出るタイミングはコントロールしているはずで、物語が佳境に入って、切なくも過酷な親子の運命をめぐるタイムスリップ譚が盛り上がってきたところで、まだそんな“話題性”の話をしているんだ。

 しかもこの人、「汲み取り方が深い」と思ってんだ。このドラマに登場したインティマシーコーディネーターのエピソードにしても、過去にヒット作を飛ばしながら沖縄に隠居していた人気シナリオライターにしても、一般の視聴者には関係のない世界の住人です。そういう世間と関係のない対象に対する自分の愚痴を、旧知の人気脚本家にドラマにしてもらって悦に入ってるんだ。

 これまで、令和の社会に問題提起するわりに認識が古い、理解が浅いという論調のレビューを書いてきましたが、クドカンの認識の問題じゃなかったんですね。この程度の甘ったるい刃で世情を斬っとくのが、磯山さんの認識に対してちょうどよかったんだということです。ダッセェ話です。