1つ目は「身元確認」と呼ばれる本人確認。
2つ目は「当人確認」または「認証」と呼ばれ、ログインIDと暗証番号の組み合わせなど、当人にしか知れ得ない情報を照合することによって、ログインしているのがユーザ登録を行った当人であることを確認することを指す。
3つ目と4つ目が「真正性の確認」と「属性情報確認」と呼ばれる本人確認だという。「真正性の確認」で、申請者が提示した番号が本当にその申請者に付番されたものかを確認し、「属性情報確認」で、その番号に紐づく様々な情報を取得・確認する。
マイナンバー制度の当初からの目的である「行政の効率化」や「社会保障と税の一体改革」は、この「真正性の確認」と「属性情報確認」によって成し遂げられるものだというのだ。
だが、これら4つの本人確認のうち、マイナンバーが使われるのは3つ目と4つ目だけなのだそうだ。
「身元確認も当人確認も、わざわざマイナンバーが記載されたカードを使用する必要はない。言い換えれば、マイナンバーとこの二つの本人確認に使用するカードとの間には何の関係もないのである。これは多くの国民にとって寝耳に水の話であろう」(新潮)
そこには明確なリスクがあると、八木はいう。
「印鑑を例に考えてみましょう。私たちは宅配便の受け取り程度であれば認印と呼ばれる三文判、銀行口座を使う場合は銀行印、不動産などの取引では印鑑登録をした実印、と場面によって印鑑を使い分けます。マイナンバーカードは、これを全て実印に統一しようと言っているのと同じです。日常的に実印を常時携行して使用するのはあまりにも不用意でしょう」
さらにこういう。
「マイナーポータルへのログインにはマイナンバーカードと4桁の暗証番号しか求められません。暗証番号を書いたメモを一緒に持ち歩いていたり、誕生日など単純な暗証番号にしていたりすれば、カードを盗まれた場合に簡単に突破されてしまう」
「それに、防犯カメラの付いたATMでしか使えないキャッシュカードの持つリスクと、機器があれば誰のパソコンからでもログインできるマイナンバーカードの持つリスクは比べ物になりません。暗証番号ロックや利用停止なども盗難やなりすましの予防効果としては限定的です。むしろ、今後多くの民間サービスと紐づけられれば、ロックや利用停止で生活が立ち行かなくなってしまいます」
新潮は、民間サービスとの連携が進めば、それだけ悪用のリスクが増加するから、今一度、熟慮と検証が必要であるという。その通りである。
我々は、マイナンバーカードを持つと政府に個人情報を握られてしまうことを恐れている。否、そういう意図をもっているのに、カネや利便性だけを吹聴する政府のやり方が嫌なのだ。
新潮のいい分に、河野太郎は真っ当な返答ができるのだろうか。政府が甘い言葉を並べてきたら「危ない」と思わなくてはいけない。マイナンバーカードはその典型であると、私は思っている。