さらなる問題は、銃撃された直後の救急搬送に時間がかり過ぎたことだ。災害やテロに詳しい元陸上自衛隊衛生学校研究員でジャーナリストの照井資規もこう指摘している。
「今回、銃撃事件の発生から病院に救急搬送されるまで、約50分かかっている。あまりに遅すぎます」

 米国の例と比べれば、一目瞭然だという。

 2020年にイリノイ大学の研究者が大統領の暗殺や暗殺未遂事件を外科的観点でまとめた論文によれば、1963年に銃撃されたケネディー大統領が病院に搬送されるまでの時間は8分。1981年に銃撃され負傷したレーガン大統領も、同じく搬送まで8分。いずれも、大統領専用車が近隣の病院に急行しているそうである。

 元FBI特別捜査官で、大規模な銃撃乱射事件に対応する危機管理チームの一員だったキャサリン・シュワイツはこう指摘する。

「犯罪現場を即座に確保することは証拠入手において極めて重要です。米国では、重大犯罪が発生したら、救命処置が終わり次第、現場への立入が禁止される。さらに国民に疑念が生じるような事件の場合は、捜査機関はより詳細な報告書を作成し、それを公開することがあります。この何が起こったのかを説明する透明性こそが、国民が捜査結果を受け入れるのに役立つでしょう」

 今からでも遅くない、捜査の責任者が会見を開き、十分に説明することが求められている。