財産分与の対象になるもの【資産編】

(写真=patpitchaya/Shutterstock.com)

お互いの預貯金は?

基本的に財産分与の対象となるものは、結婚生活の間に得た収入や買った物、また借金などが対象です。名義は問わず、実質面から見て判断します。

イメージしやすいのは、預貯金・保険・不動産・車。預貯金は、夫婦それぞれが結婚後に得た収入を入れている口座を指し、一方の収入を他方へ移したときはその口座も該当します。

ときどき見られるケースですが、結婚前の預貯金や、結婚と関係なく受け取った財産などを、特に定期預金口座などに分けず、結婚後の収入と混じってしまっている場合は注意が必要です。結婚前の預貯金などとそれ以外のものが明確に分けられるのであれば別ですが、すべて財産分与の対象にされてしまうこともあります。

子ども名義の場合は?

子ども名義で預金口座を作っている場合、その口座の中身が両親や親族のお年玉、祝い金の類だけであれば、財産分与の対象にはなりません。しかし、どちらかの収入が混ざっていると財産分与の対象になる可能性があります。

子ども名義の保険は、積立型であれば保険契約を解約した際に解約返戻金が発生することもあります。その場合、解約払戻金は財産分与の対象となります。

学資保険のように、夫婦のうち離婚後に子どもの面倒をみる方が、そのまま保険を引き継ぎたいと考えるような保険でも、解約返戻金があれば基本的には財産分与の対象です。そのため、引き継ぎ可能かを話し合って決めることになります。

将来発生する退職金や株式は?

比較的まとまったお金になるのは退職金でしょう。支払われるのは将来であっても、結婚してから別居に至るまでの期間に相当する退職金額が分与対象になるとされています。ただし、最近は一時金だけでなく年金方式で受け取る仕組みもあり、複雑化しています。

一般的には、退職まで数年以内であり、公務員や大企業勤務といった倒産の可能性が低く、確実に受け取れると判断されるケース以外は、財産分与の対象とするのは難しいでしょう。その他、有価証券や株式も、結婚後の収入で得たものであれば分与の対象になります。

借金は?

債務については、結婚後に借り入れたものでも、分与の対象となるかどうかは借り入れ目的によります。例えば、結婚後に組んだ住宅ローンや生活費の不足分を補うための借り入れは、財産分与として考慮されます。

これに対して、宝石やブランド品など、自分の嗜好や満足を得るための買い物、いわゆる贅沢をする目的で作った借金は、夫婦生活に必要な借り入れとは言えないため、財産分与のときには考慮されません。あくまで、借金を作った本人が返済すべきものと見られます。