中島はこうも記す。

「そもそもカイロ大学が出した声明文なら、アラビア語で記されているのが普通ではないでしょうか。それに英語・日本語訳が付いているのならわかりますが、英語・日本語だけなのも不思議な話。またカイロ大学学長の文書が、カイロ大学HPに掲載されず、駐日エジプト大使館のフェイスブックにだけ載るのも、今思えば奇妙なことです。
いずれにせよ、声明文は、はからずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた。そして、ここからは推測になりますが、彼女側から大使館へ依頼して掲載された。これがカイロ大学声明発出の内実だ、というのが私とA氏の結論です」

 この学歴詐称の件はすでに時効になっている。だが、今夏には再び都知事選がある。

「学歴の詐称は、公職選挙法の虚偽事項公表罪にあたります。ただ、控訴時効は三年。二〇年の都知事選の選挙広報にも、小池さんはカイロ大学卒業と明記していますが、すでに時効が成立しています。この手記を読んで、次の都知事選で、彼女が再び学歴を明記するかどうか。私は注目しています」

 文春で中島はこう宣言している。

「小池氏が『カイロ大学卒』と選挙公報に明示すれば、刑事告発します。その時に備え証拠を保全しています」

 また、カイロ大学卒と書かなければ、カイロ大首席で卒業という経歴は嘘だったと認めることになる。

 小池にとっては、どちらも致命傷になりかねない。

 また中島は文春で、駐日エジプト大使館に声明文を掲載させてもらったことで、小池はエジプト政府に大きな借りを作ってしまったはずで、都知事や総理大臣候補といわれる人物の政治生命を外国政府が左右することになり、国益を損なうと指摘し、

「小池都知事にはもう嘘をつくのは止めて欲しい」

 と話す。

 新潮も結びでこう記している。

「彼女は小泉純一郎首相をはじめ、数々の権力者を籠絡して、権力の階段を駆け上がってきたと言われる。その“緑のたぬき”の化けの皮も、いよいよ剥がれつつあるということか」

 4月28日には補選の投開票がある。衆院東京15区の補欠選挙に出馬している作家・乙武洋匡は、小池が強く推しているが、もし、乙武が落選することになれば、小池都知事の命脈はこれまでということになるのではないか。

 そしてそこから、小池百合子という女性は「何者だったのか」、彼女を再評価する機運が高まると思う。

 そして、新聞やテレビが、小池に跪いて、学歴詐称疑惑にも真剣に取り組んでこなかった“罪”も厳しく断罪されなければならないはずである。