今週の第1位は、小池百合子都知事の学歴詐称疑惑を報じた、文春と新潮に捧げる。

 冒頭書いたとおり、発端は文藝春秋5月号で、小池百合子の側近だった小島敏郎が告発したことからである。

 彼の経歴は、文藝春秋によるとこうである。東大法学部を出て1973年に環境省に入庁。次官級ポストに就いたのちに退官。大学教授や弁護士としても活躍。

 2016年から都政に関わるようになり、築地市場移転問題を中心に政策を提案。小池百合子が都知事就任後に特別顧問になり、都民ファが誕生してからは同党の政務調査会理事長に就任して、小池の側近と呼ばれていたという。

 冒頭で紹介したように、前回の都知事選直前に小池の学歴詐称疑惑が浮上し、「小池危うし」が高まっていた。

 だが、なぜか突然、駐日エジプト大使館のフェイスブックに小池はカイロ大を卒業しているという文言が掲載され、小池追及の矛先が急に鈍り、都知事選で小池は大勝したのだ。

 小島はこう書いている。

「小池さんは懇意にしている自民党の二階俊博幹事長(当時)に、都議会自民党をなんとかして欲しいと頼んでいました。しかし、それでも追及は止まらず、『女帝』の発売を受け、都議会最終日の六月十日には、『小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書提出に関する決議』を提出するする流れになった。都議会自民党の若手が、小池さんの対抗馬として都知事選に立候補する動きもありました。
学歴詐称の疑惑を払拭しなければ、小池さんは出馬宣言ができない状況でした。彼女にとって政治生命の危機だった。困り果てて六月六日に私を呼び出したのです。都知事選は七月五日に迫っていました」

 そうして会った小池はカイロ大学長からの手紙を見せたという。

「見せられたのは、カイロ大学学長からの、イベントへの招待状でした。日付は五月三十一日。英文で『一九七二年十月にカイロ大学文学部社会学科へ入学。四年間の学業を収め、一九七六年十月に卒業した小池百合子氏を、十二月二十一日にカイロ大学で行う『サイエンスデイ』に招きたい旨が記されていました。
今、手元にある文章を読むと、なぜ招待状にわざわざ入学と卒業の年月が入っているのか、不自然だと気付きます。ですが、その時は何とも思いませんでした。(中略)
私は率直に聞きました。
『卒業証書や卒業証明書を見せればいいんじゃないですか。それがあれば通常、それ以上の証明は求められません。それはあるんですよね?』
小池さんは言いました。
『あるわよ。でも、それで解決しないから困っているのよ』」