◆断ち切ったはずの思いが…
変わらず為時(岸谷五朗)に仕事はない。
まひろ(吉高由里子)はそんな父にかわって仕事に出ようとするが、身分が低いこともあってなかなか決まらない。世知辛い、生まれながらにしてこんなにも差があるのか、と思わずにはいられない。
そんなまひろの状況を聞きつけたのが倫子(黒木華)だ。倫子にとってまひろは大事な友人。友人を助けたいと思ったのであろう倫子は、自分の家で働いてみてはどうかと提案する。
が、まひろは頷かない。そりゃあそうだろう……倫子の家=道長がいるのだから。すでにほかで仕事が決まってしまった、と言って断るが、なんとはなしにまひろに、文の話を持ち出した倫子。
道長が大事に婿入り先まで持ってきている文がある、と。それは漢詩で書かれている……
まひろが送ったものである。
倫子としては、道長は一度も文をくれずに突然訪ねてきたような人だったので、そういう人だと思っていた。いや、思おうとしていたのかもしれない。でも、文がある事実。
まひろはまひろで、文を大事に持ってくれていたことは嬉しいだろう。しかし、まひろと会ったその足で倫子のもとに向かったのだということを知ってしまう。穏やかなシーンなのに、2人の女性の胸中を想えば、決して穏やかではない。
視聴者としては、道長はかなり感情的になって行動した結果だし、言ってみれば道長の行動の原動力はまひろだ。だからと言って、結ばれるわけでもなく……。なんて複雑なんだ、平安時代。
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