まひろの顔色ですべてを悟った弟たちに酒を勧められると、「酔ってしまうかも」というセリフまであって、「大河ドラマ」というより木曜22時の民放のドラマみたいで苦笑してしまいました。

 まひろに立ち去られてしまった道長はその「勢い」で、文も書かぬまま(ノーアポで)、左大臣家・源雅信(益岡徹さん)の屋敷に現れました。

 道長の硬い表情や態度からは、彼がその夜は顔合わせ程度だと考えていただけではないかと思われましたが、倫子は道長にガチ恋勢でしたから、抱きつくそぶりで彼を押し倒してしまい、抜き差しならない展開となりました。「大河」にしては、直球の色恋描写が多すぎるという声もあるようですが、親の目を盗んであばら家に走っていくまひろの姿には「青春だねぇ」と毎回いわずにはいられなかったですし、とりあえず道長と関係を持って、既成事実を作ろうという倫子のたくましさには拍手を送るしかありません。

 さすがにああいう結ばれ方は、民放の恋愛ドラマのスタイルを「大河」および平安時代の実在の人物にあてはめただけで、道長と倫子のように社会的ステイタスの高いカップルにはあり得ないことではあります。通常ですと、両家の間で「この日からおたくに3日連続で道長さんがおうかがいしますから、対応よろしくお願いいたします」というような約束事が取り交わされていたはずです。道長も従者たちを引き連れて、つまりそれ相応の威儀を正した感じで、倫子が住む屋敷を訪れてきていたはずですね。そして3日目の訪問があった時、結婚関係が成立し、2人は妻側の親たちと共に餅を食べるわけです。こういう平安時代以来の「三日夜(みかよ)の餅」の儀式は、結婚式をあげた初夜に寝室で餅を食べる程度に簡略化されつつも、戦前くらいまでの宮中関係者の間には残っていました(秩父宮勢津子妃も自伝『銀のボンボニエール』で証言)。