──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

  前回の『光る君へ』、第12回「思いの果て」は、「庚申の日」の夜に起きた出来事が中心となっていましたね。平安時代の風習として、暦でいう庚申の日は、人の体内に住んでいる3匹の虫が宿主が寝ているスキに天に登り、天帝にその人の悪事を告げ口するとされたので一晩中寝ずに起きていたのです。

 その夜、まひろ(吉高由里子さん)は道長(柄本佑さん)に呼び出され、密会現場のあばら家に急いだのですが、最初は「北の方ではなく、妾でもいい」という気持ちになっていたのに、道長が他の女性、それもまひろがよく知る源倫子(黒木華さん)を北の方として迎えると言い出したので「お幸せに……」と返すことしかできず、帰宅するというほろ苦い一幕がありました。