◆人の出会いと出会いが、気持ちのいい風の流れを生む

大奥(C)NHK
家定への思いもさることながら、身請けの際の正弘からの瀧山へのそれも胸を打った。男女のもつれから、母が上役を刺し殺した罪人であったために、陰間にならざるを得なかった瀧山。それゆえ、大奥勤めも瀧山は断ったが、正弘は「それはそなた自身の咎ではない。何か言うものがあれば、私は正面切って戦おうと思っておる」と、はっきりと伝える。

恩義を感じた瀧山は、家定を“いやなこと”つまりは家慶の虐待から守るために、西の丸大奥総取締になる。しかし瀧山が報いたいと感じた恩義も、もとは瀧山が正弘を勇気づけたからこそ始まったこと。

「己の翼で飛ぼう」と強い意志を持った瀧山が、正弘の兜の緒を締め直させた結果、瀧山に翼を与えた。そしてともに家定を救うことになった。さらに家定も、外国からの脅威の迫る日本を前に、正弘に「もっと自由に飛んでみよと」大きな翼を与えていく。出会いと出会いが、気持ちのいい風の流れを生んでいく。