正体が判明して以降の乃木は、テント関係者を次々と追い詰めていくダークヒーローと化していく。乃木のエキセントリックな振る舞いは『半沢直樹』で堺が演じた半沢直樹を彷彿とさせる芝居となっており、物語の方向性が一気にクリアになったと感じた。

 おそらく今後の物語は、乃木の率いる別班と、野崎の率いる公安が、テントを追う中で対立しながらも、共闘していく展開となっていくのではないかと思う。しかし、原作なしのオリジナルドラマゆえに、先の展開は全く想像がつかない。

 豪華なキャストと映像に目が行きがちだが、ここまで大規模な連続ドラマをオリジナルの脚本で作ることは本作最大の冒険で、一番の賭けである。内容もさることながら、これだけの予算規模の連続ドラマにオリジナル作品で挑戦したことこそが『VIVANT』の魅力だろう。この大博打に本作が勝利することを祈っている。