◆永野×山田の名演で、心に残る傑作に

はじめはあまりに負の衝撃が強かったけれど、誰もがもっている“奇跡”を丁寧に描いた作品でした。味覚を失い、嗅覚を失い、触覚を失い、最後には視覚も聴覚も失う——当たり前に他者と繋がり、自分がそこに存在することを教えてくれる“心(五感)”の大切さを、全11話を通して伝えてくれました。

何より、雨と太陽を演じた永野と山田の演技が秀逸。永野は、雨をただ不幸で可哀想なヒロインにせず、困難を乗り越える強さと美しさを体現しました。一方山田も太陽を、ただの明るい青年ではなく、逆境に立ち向かうまっすぐさと人を信じて寄り添う純粋さで、深みのある人物像に仕上げています。だからこそ、雨と太陽が織りなす物語は、実に美しかった。

ふたりの結末についてここでは触れませんが、「互いの存在を認め、必要とし、愛し愛されること」。それがどれほどの“奇跡”なのかを、ドラマを通して伝えてくれた珠玉のラブストーリーでした。未視聴の方や離脱した方には、ぜひ全話を通して観て欲しい作品です。

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4月からの春クールに放送されるドラマも続々と発表されていますが、それまでに今一度、この冬クールのお気に入り作品を見返してみてはいかがでしょうか。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】

tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201