新型コロナウイルスの世界的な流行により、企業とそこで働くビジネスパーソンを取り巻く環境は大きく変化しました。中小企業を中心として事業を縮小したり、会社の運営を簡素化したりするなどコロナ禍によって生じた損失に対応しているケースも少なくありません。一方でコロナ禍による変化を追い風として巧みな施策を掲げ、見事に急成長を遂げている分野もあります。そこでコロナ禍の影響をポジティブに捉えるためのカギについて分析し、ウィズコロナ、アフターコロナの時代においてビジネスチャンスと見なされている分野についても考察します。

コロナ禍によって重要度が高まっているテーマを見極めよう

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カギとなっているのは「冷静な分析」「発想の転換」の2つです。「コロナ禍によってどんな需要が生じているのか」を適切に判断し、その需要を満たすうえで「企業として何ができるのか」を見極める必要があります。そこで求められるのは現実を見すえた柔軟な思考です。

コロナ禍以前に戻るという仮定の効果は限定的

コロナ禍に起因する環境の変化は継続しており、社会全体が「コロナとどのように共存していくか」という視点から試行錯誤を繰り返しています。企業で言えば、テレワークをメインとした働き方が徐々に浸透してきています。各分野におけるこうした取り組みはやがて実を結び、新しい生活スタイルとして着実に定着していくことでしょう。

今後、有効なワクチンが開発されて新型コロナウイルスの流行が収束に向かうとしても、企業やビジネスパーソンを取り巻く環境がコロナ禍以前のようになることは考えにくいと言えます。

コロナ禍に伴う需要にフォーカスしていくことが大切

需要を見定めることができた後は、スピーディーな対応力が求められます。自社ではこれまでに扱ったことがない分野だから……と考えてあきらめないことが大切です。むしろ、こういう時こそ柔軟な思考を持ち、何ができるかにフォーカスしていきましょう。例えば、国内におけるマスクの供給がひっ迫したときに、門外漢である大手自動車メーカーや家電メーカーなどがすばやく参入したことは、柔軟性と対応力の良い手本と言えるのではないでしょうか。

コロナ禍の環境において成長している分野とは

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コロナ禍の環境においても活況な分野は「デリバリー産業」です。外出自粛要請に伴って、食料品をはじめとするデリバリーサービスの利用者は大きく増加し、需要も拡大しました。それにともなって、これまで店内での飲食に限定していた店舗でもデリバリー対応をスタートさせたケースは少なくありません。

また、もう一つの成長分野は「デジタルビジネス」です。ネットショッピングなど小売りのイメージが強かったデジタルビジネスは、コロナ禍の影響下で大きな変貌を遂げようとしています。では、その詳細を見ていきましょう。

需要が拡大するデジタルビジネス4選

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デジタルビジネスにおいて、以下の4つの分野が急速に拡大しています。いずれの分野も全く新しいわけではありませんが、コロナ禍の影響によって短期間に需要が増え、今後もさらに成長が見込まれているのです。

  1. eコマース
  2. サイバーセキュリティ
  3. eスポーツ
  4. デジタルコンテンツ

1.eコマース

「eコマース」とは電子商取引の総称で、「EC(Electronic Commerce)」と略称で呼ばれることもあります。コロナ禍の影響によりネットショップなどの小売りだけでなく、企業間の取引も電子決済で行えるよう変化してきています。

2020年に経済産業省が行った試算によると、2019年度の消費者向けの電子商取引は19兆3,609億円、企業間取引は353兆円でした。2020年度はさらなる増加が予想されています。

2.サイバーセキュリティ

「サイバーセキュリティ」とは、ネットワークに接続しているすべてのデバイスを悪意のあるアクセスから保護することです。業務のIT化やeコマースの普及にともない、企業の重要なデータの多くはデジタル管理されています。こうした情勢から、セキュリティおよびサイバー保険の需要が高まっているのです。

3.eスポーツ

「eスポーツ」とは、エレクトロニック・スポーツの略で、対戦型ビデオゲームをスポーツ競技化したものの総称です。2020年に経済産業省が行った調査によると、2019年の時点でeスポーツの市場規模は約61億円と試算されています。

これが2023年には150億円を超えるという予測も出ています。体への直接的な接触が不要であり、世界中から簡単に参加できるため世界中で市場規模の拡大が見込まれています。

4.デジタルコンテンツ

「デジタルコンテンツ」とは、電子データとして提供されるすべてのメディアを指しています。書籍や音楽だけでなく、ライブ配信を行うためのアプリなども含まれます。

2020年2月に経済産業省が公表した「コンテンツの世界市場・日本市場の概観」によると、2018年におけるデジタルコンテンツの市場規模は日本だけで約10兆6,000万円でした。これが巣ごもり需要などと合わせてさらに拡大していくと期待されています。

広い視野と柔軟な思考力を持とう!

コロナ禍の影響により、経済における下げ圧力が発生しているのは事実です。しかし成長している分野がまったくないわけではありません。むしろデジタル業界など、コロナ禍を追い風にさらなる発展が見込まれる分野は実際に存在しています。今後ビジネスパーソンにとって必要なことは、広い視野と柔軟な思考力を持って新たな機会を模索していくことではないでしょうか。

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