「老後破綻」が社会問題になっているのをご存じですか?ひと昔前は「年金生活」といって、老後は年金を受け取り、穏やかに天寿を全うするまで生活をしていけました。

それが、今の時代では通用しなくなり、これからますます深刻な問題になろうとしています。「老後破綻」は「長生きリスク」ともいわれ、本来なら長生きすることはお祝いすべきことなのに「長生きしちゃったからお金がない!」という問題が起こっています。

これはどういうことなのでしょうか?その原因から「今から私たちができること」まで考えてみましょう。

「ライフプランニング」は老後破綻の救世ツール

(写真=PIXTA)

日本は超高齢社会に突入しました。2030年には、65歳以上の高齢者の人口比率が約31.1%になるといわれています。今や女性の2人に1人、男性の4人に1人が90歳以上の寿命があるとか。60歳で定年を迎えても、その後30年も人生が続くのです。もはや「人生100年時代」はすぐそこまで来ています。

老後破綻するか否かは誰にも分かりません。ただ、ライフプランニングという手法で、老後のお金のシミュレーションすることはできます。

人生において生活をしたり、夢を実現したりするには経費が必要です。その「人生の必要経費」を洗い出し、収支のシミュレーションを図るのです。収入面では、いつまで働けるのかを考え、「ねんきん定期便」を使用し、老後の収入を予測します。加入している保険などの受取額や時期も確認してみましょう。

支出面では「ライフイベント」といって、自宅の購入・車の購入・旅行や趣味にかかるお金なども細かく組み入れていきます。そして何歳まで生きるのかを予測するのです。大手保険会社の調査によると、男性は87歳・女性は92歳で亡くなる方が一番多いようですが、アラフォーの方は、+5歳くらいは考えた方が良いかもしれません。この数値を元に不足するお金について考えてみましょう。

人生100年時代「攻め」と「守り」の二刀流でお金に備えよう!

(写真=ANDROMACHI/Shutterstock.com)

つい目先のおしゃれや美容・教養・趣味・交際費など、アラフォー女性は付き合いやストレス発散で、ついついお財布のひもが緩むことも多いでしょう。しかし、そこはよく考えて、工夫をしてみませんか?このまま使ってばかりいたら、老後破綻の原因になるかもしれません。

低金利時代の今、預貯金だけではお金は増えません。これからの時代は「攻めと守り」の二刀流でお金のことを考えたいもの。

「攻め」の部分は「自分年金」です。少子高齢化にともない、さらなる年金額の引き下げや、支給年齢の繰り上げが予測されています。厚生労働省の「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員の公的年金支給額の月額平均は、男性は16万6,000円、女性は10万2,000円です。ちなみに、自営業の方は年間で77万9,300円(2018年4月現在)です。

今のアラフォーの女性は男性並みの年収をもらっている方も多いので、女性の平均支給額は今後増えるでしょう。ただ、仮に月16万円と計算しても、この金額では満足な生活は難しいのではないでしょうか。

公的年金以外に老後資金を蓄える方法として、自分年金は有効です。「確定拠出年金」は3つの節税効果(掛金の全額所得控除/運用益非課税/受取時の税制優遇あり)があるので、現役時代から有効活用できます。

会社によっては、確定拠出年金に十分に加入できない方もいます。そんな方には「つみたてNISA」をおすすめします。「つみたてNISA」は国の基準を満たした投資信託・ETFに限定されていますし、販売手数料はゼロまたは低くなっています。さらに、信託報酬も低く設定され、運用益は非課税です。

「守り」の部分は保険です。保険の適正金額は、公的保険で賄えない部分で大丈夫。差額ベッド代や食費、先進医療費などに注目して試算し、保険料を見直してみましょう。将来の備え・安心につながります。

保険の見直しは、定期的に行う方法がおすすめです。入院期間や特約など、時代背景によって保険内容も大きく変わってくるからです。今は長期入院をすすめる病院は少ない時代ですので、日帰り入院や一日の入院から保障がつくものがいいでしょう。また、認知症のリスクも考慮にいれたいところです。

「計画・攻め・守り」の3つを効果的に使うのがベスト

(写真=violetblue/Shutterstock.com)

筆者自身、離婚時に将来のお金の不安が大きかったのですが、実際にライフプランニングをして安心することができました。ライフプランニングはお金の健康診断にもなり、とても重要です。老後破綻を防ぐために、今から「計画・攻め・守り」の3つを検討しみてはいかがでしょうか。

文・寺門美和子(ファイナンシャルプランナー・夫婦問題カウンセラー)

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