若手ビジネスパーソンにとって年代や立場の違う上司は距離を感じる存在です。普段からうまくコミュニケーションがとれていれば問題ありませんが、「どのように接していいか分からない」「上司とそりが合わずストレスになっている」という人も少なからずいるのではないでしょうか。しかし、会社で働くビジネスパーソンにとって職場でのコミュニケーションは必要不可欠なものです。

今回は、仕事のモチベーションにもつながるコミュニケーション術について考えてみましょう。

上司とコミュニケーションが必要な理由

上司は部下の仕事を取りまとめたり指導したりするなど責任のある立場です。若手ビジネスパーソンにとっては直接仕事を教わる先輩とは違って壁があり、また年齢も離れている場合が多いため敬遠しがちな存在かもしれません。そのため「業務上の伝達事項以外はほとんど言葉を交わしたことがない」という人もいるのではないでしょうか。

上司と部下のコミュニケーションがうまくいっていない職場では、ちょっとしたことでもストレスになることがあります。例えば、コミュニケーション不足により自分の仕事を評価してもらえないときなどは「自分は嫌われているに違いない」などとネガティブに考えてしまうかもしれません。しかし、人間関係が円滑であれば素直に受け止めたり改善点を質問したりすることもできるはずです。

また、しっかりとコミュニケーションがとれている部下のほうが上司にとっても仕事を頼みやすいでしょう。逆に笑顔が少なかったりコミュニケーションが少なかったりする部下はやる気がないように見えて誤解されてしまうことがあります。信頼関係を築いていないからこそのすれ違いは、普段からコミュニケーションをしっかりととっておくことで解決できるのではないでしょうか。

上司とのコミュニケーションを深めるための7つのポイント

業務のためにも上司ともっとコミュニケーションをとったほうがいいとは分かっていても「何から始めればいいか分からない」という人もいるでしょう。そんな人は、以下の7つのポイントを覚えて少しずつ意識を変えてみましょう。いずれにせよ自分から心を開くことが大切です。「分かっているけどできていない」ということも多いかもしれませんが再確認していきましょう。

  1. あいさつは自分から
  2. コミュニケーションをとる頻度を増やす
  3. 雑談力もある程度は必要
  4. 叱られたときにすぐ反論せず、まず受け止める
  5. 基本の報告・連絡・相談はきちんと
  6. 苦手な上司とは適度な距離を保つ
  7. ちょっとしたお礼は付箋や一筆箋を利用する

1.あいさつは自分から

あいさつはどんな場においてもコミュニケーションの基本です。朝の「おはようございます」、終業時の「お疲れさまです」などは必ず自分から伝えることを意識しましょう。最低でも1日2回のあいさつがきちんとできていればハキハキと元気に働いている印象を与えることができます。自分ではあいさつをしているつもりでも声が小さかったり下を向いていたりすると台なしです。

場合によってはきちんとあいさつが相手に届いていないこともあります。職場全体に何となく声をかけるのではなく、相手の目を見て伝えることが理想です。

2.コミュニケーションをとる頻度を増やす

そもそも上司との会話があまり多くない場合は、普段からコミュニケーションを積極的にとるようにしましょう。「あいさつのようなきっかけがないと難しい」と感じる人もいるかもしれません。しかし、飲み物をとりに席を立つ際や仕事の報告に行く際などちょっとした機会を活かすよう意識をします。話す内容は業務上のことより趣味などプライベートに関するものがいいでしょう。

上司がほかの人と話しているときにさりげなく情報収集したり、抵抗がなければSNSでつながったりすることも方法の一つです。上司の趣味や私生活に興味を持つことで意外な共通点が見つかるかもしれません。職場での先入観を一度忘れて人として向き合ってみましょう。

3.雑談力もある程度は必要

仕事のために出社しているのに上司が雑談ばかり振ってきて面倒……そんな悩みを持つ人もいるかもしれません。上司はただ話好きな場合もありますが雑談によって職場の人間関係を円滑にして業務の改善を図っている可能性もあります。それを理解していても「やはりあまり雑談はしたくない」「雑談しなくても仕事はきちんとできている」という人もいるでしょう。

しかし若手ビジネスパーソンは雑談に参加しなくてもいいのかどうか、自分の将来を見据えて考えてみましょう。今後、後輩や部下を持ち指導に行き詰まってしまった場合、コミュニケーションをとって信頼関係を築けているかどうかは重要なポイントになってきます。また世代が違う相手とのコミュニケーションのためには、雑談力をつけておくことも必要でしょう。

今は上司との雑談を時間の無駄に感じたとしても「それが何のためなのか」を考えることで意味のあることと感じられるようになるかもしれません。

4.叱られたときにすぐ反論せず、まず受け止める

仕事でミスをした際や意見の食い違いがあったときなど上司から注意されるのはやむを得ないことでしょう。なぜならビジネスパーソンは何度も失敗を重ねて経験を積み社会人として成長をしていくものだからです。もちろん叱られることを気分のいいことと感じる人はいません。しかし反射的に「ですが」「でも」と反論するのが癖になっている人は要注意です。

なかには、上司が言っていることが間違っていたりよく話をすれば誤解が解けたりするようなケースもあります。ただ最初から相手の言うことに対して逆説で返答すると上司に「素直じゃない」「かわいげがない」などとマイナスのイメージを与えてしまいかねません。これは非常にもったいないことです。上司から叱られたときには、まずは相手が叱っている内容についてきちんと受け止めましょう。

「はい」など肯定する相づちだけではなく相手が言うことを繰り返すのも「話を聞いている」と伝わりやすくなります。クレーム対応でも用いられる手段ですが、相手が感情的になっている場合はより肯定的な姿勢を見せることが重要です。上司の意見に真剣に耳を傾け素直に向き合うことで信頼関係を築きやすくなります。その後、何か反論や意見があれば一呼吸おいてから伝えるようにしましょう。

5.基本の報告・連絡・相談はきちんと

仕事において「ホウレンソウ=報告・連絡・相談」は基本中の基本です。同じ仕事をするチームとして正しく迅速に情報を共有することは、無駄な作業を減らしトラブルを防ぐ効果があります。しかし、忙しい上司にどこまで伝えるべきか迷うこともあるでしょう。そのようなときのために、できるだけ日ごろから相手が理解しやすいように内容をきちんと整理する習慣を身につけ、簡潔に伝えられるように準備をしておくといいかもしれません。

ただし明らかに失敗してしまったときや何らかのトラブルがあった際は、速やかに相談や報告することを優先しましょう。最もよくないことは「叱られるのが嫌だ」「評価が下がる」などと報告を後回しにしてしまうことです。失敗を報告することは誰であっても気が進むものではありません。

憂うつですが大きな問題になってしまう前に対策を講じることが何よりも大切です。迷惑をかけたくないと思うなら適切な行動をとって巻き返すようにしましょう。

6.苦手な上司とは適度な距離を保つ

周りが上司や先輩だらけの若手ビジネスパーソンにとって、どうしても気が合わず苦手な上司も中にはいるかもしれません。人間同士ですから相性が悪い人がいるのはやむを得ないでしょう。しかし仕事で毎日顔を合わせる場合は、なるべくお互いがストレスを感じないように仕事をしたいところです。心理的な距離を置くための手段としてペンなどちょっとした小物を利用することもできます。

例えば苦手な上司との間にペンを1本置く……それだけでも精神的な効果が期待できるでしょう。相手に気づかれることなくできるのでまずは試してみてくださいね。

7.ちょっとしたお礼は付箋や一筆箋を利用する

現代はメールやチャットのようなツールを用いてコミュニケーションをとるのが当たり前になっていますが、上司にはあえてアナログな手段を使うのもいいでしょう。なぜなら目上の人の中には、最新のデジタルツールにあじけなさを感じている人も多いからです。業務上の連絡はきちんと記録に残るツールを使うのが安全ですが、ちょっとした一言を添える際にはぜひ手書きで行ってみましょう。

職場の机の引き出しには一筆箋や付箋を常備しておくと便利です。例えば書類を渡す際やお礼・お土産を渡す際など、手書きで一言添えてあると人間味が伝わって好印象を与えます。普段はあまり話していない相手ほど効果的でしょう。しかしこれらはあくまでも補助的なものです。「直接報告しづらいことを書く」「手紙だからといってなれなれしい言葉遣いをする」など、使い方によっては逆効果になりかねないため注意しましょう。