◆名プロデューサーの心は、いつも観客代表
――ところで春名プロデューサーは本当に数多くのヒット作を手掛けてきました。『世界の中心で、愛をさけぶ』を世に放った時は30代半ばです。ヒット作を生み出すために、意識されていることはありますか?
春名P「僕はいわゆる映画少年でも映画青年でもなかったんです。むしろ映画を観に行かない人だった。だから、そんな僕が観に行きたくなるような映画を作らなきゃと思っています。映画への造詣が浅く、ミーハーなんですよ(笑)。映画論を問われても、僕は答えられない。だけど、その代わりに、観客代表のつもりで、監督や脚本家と対話をしながらプロデュースしています。
今回、映画プロデューサーとして連続ドラマに挑戦するにあたって、とても信頼する、そして多くの秀作ドラマ作品を手掛けてきた平川監督、脚本の金子さんとともに、映画的な省略の美学と、連続ドラマ的な説明の美学をうまく融合させながら作りました。とにかく音楽でいうBPMを落とさずに最後まで見届けてもらえるように。
1話目でも、『母が記憶喪失で』とか『2階に謎の男がいます』とか、だいたい5分ごとに何かしら新しいインシデントがちゃんと起きるように配しています。これから観る方は没入して、すでに観ていただいた方には、今度はそこを意識して観てほしいです」
<取材・文/望月ふみ>
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi