旧統一教会との蜜月、そして裏金調査をめぐっても中途半端な対応を続ける岸田政権。何より足並みがなかなか揃わないのは、自ら先陣を切ったはずの派閥の解散だ。岸田派などとは異なり、茂木派や麻生派は派閥を存続させる意向を示しているのだから、首相の威光など無視しているようである。
中でも麻生は、首相が派閥解散に踏み込んだ直後から「私は派閥をやめませんから」と宣言している。2月2日には派閥のメンバーに事務総長名で国会会期中の毎週木曜日、正午に例会が開催される旨の案内が届いており、これまでと変わらず活動していく構えである。
そんな麻生は周囲に、「岸田は、この先の総裁選について何も考えていないままに派閥を解散したんじゃないか。一体どうしたいのかね。俺は知らねぇよ」といい放っているそうだ。
麻生の周辺がこう続ける。
「麻生氏は九月の総裁選で、やはり『数の力』こそが雌雄を決すると見ています。だからこそ、麻生派と茂木派の支えで政権を手にした首相が派閥を軽視することに苛立っている。“これでいいのか、岸田降ろしに走るぞ”と恫喝しているようなもの。最近は『おばさん』との揶揄が問題視された上川陽子外相について、『(法相時代に)オームを死刑にしたのはすげぇよ』と独特の言い回しで、次期総裁候補に押そうとしています」
しかし、自派からも退会者が出ている。退会届を出した岩屋毅元防衛相は文春にこう語っている。
「自民党のこれまでの組織文化、体質を変えるためには、すべての派閥を一旦解消して、更地から作り直す必要があるということを訴えてきました。自民党の正式機関でもない団体が日本の政治を動かしてきたことが何より問題です。親分の声で決まってそれに逆らえない政治家の塊で本当にいいのでしょうか。麻生派も解散すべきだと思います」
派閥解散の流れに逆行し、自身の権勢拡大を目論む麻生だが、すでに卒寿を超えているが、周囲にはこう意欲を語っているという。