◆一面性だけで人を語ることはできないから

 Season1では、結婚したものの日に日に暴言と暴力がひどくなる大輔(野村周平)に怯える妻・茜(馬場ふみか)が、「仮面さん」の力を借りて復讐劇を繰り広げた。紆余曲折を経て夫は自殺を図ったが命は助かり、ふたりはようやく向き合う。

「ふたりとも相手への接し方がわからなくなってしまった。彼の心の病が高じ、茜は流産して向き合うことを避けていった。最後にようやく向き合うことで、不器用でもちゃんと話せばよかった、話したかったと気づいていったんです。Season2では、もう少し踏み込んで、復讐の先に何があるのか、向き合わなかったら何があるのかを描きたいと思っています」

 今回は前回ほどわかりやすいモラハラがあるわけではない。忙しくてなかなか家庭に関われないものの、妻にとって決して悪い夫ではなかった透。だが息子が亡くなったことで、その透の「血の通った嫌な男、ちょっとずるい男」の側面が浮き彫りになっていく。

「人間って白黒はっきりさせればいいというわけではないし、自分の中でもすべてがクリアになっているわけではない。一面性だけで人を語ることはできませんよね。今回、美咲には美咲の事情があり、透にも透の事情がある。そういう人間くささみたいなところもきちんと描いていきたい」