◆ほとんど最終回までの脚本が上がってからクランクイン
倉地さんは小学生のころからドラマが大好きだったという。
「『踊る大捜査線』とか『やまとなでしこ』『ビューティフルライフ』など、キラキラしたドラマを観て育って夢とか希望をもらってきたんです。だから自分がドラマを作る側になったとき、ほんの30分でもいい、つらいことを抱えている人がひととき現実を忘れてドラマに入り込んでくれたらいいなと思っています」
そのためにもドラマを作る段階では、ほとんど最終回までの脚本が上がってからクランクインする。最終ゴールが見えていれば俳優も演じやすいし、演出もしやすいからだ。
「脚本を書いた上村さんが監督もしているので、長く議論させていただいている分、共通認識ができています。出てくるエピソードに関してはいろいろな人たちと話して、こんな夫は嫌だねとか、ここまでいくと復讐したくなるよねとか雑談ベースでたくさん会話を交わします」
脚本・監督の上村奈帆さんについては「言葉に対して思慮深い人」「キャラクター作り、間や行間、背景の掘り下げ方も深い」と、厚い信頼を寄せる。
「どうしても今の時代、刺激の多いドラマが求められるんですが、上村さんとは『悪い人のいないドラマを作りたい』という話をよくしています。視聴者にうけるかどうかはわかりませんが、いつか今とはまったく違うアプローチで“とてつもなく優しいドラマ”が作ってみたいですね」