そうして実に平和に、みんな満足気に、晴見フィルのさよならコンサートは幕を閉じたのでした。

 なんだか最終回みたいだな、と思って見てたんです。というか、ここまでのドラマだと思っていた。

 廃団寸前の田舎のアマオケに天才コンダクターがやってきて、団員集めやトラブルに苦労しながら、さよならコンサートまでたどり着く。このドラマだったらマエストロの娘が若くして音楽に絶望しているバイオリニストだったりするわけで、コンマスに病気とか事故とかあって、代わりに第1バイオリンに娘が加入。父親の指揮で娘が演奏して家族の絆が復活してよかったね、と。そういう話で最後まで行くのかと思ってた。

 全然違いましたね。あくまで晴見フィルはマエストロの音楽家としての情熱を呼び覚ますための段取りであって、ここからが『さよならマエストロ』だったわけです。第6話までは、序章に過ぎなかった。