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 この日の『余談』の最後に、かまいたちが言う。

「俺らも、和牛が『M-1』出るたびに、強烈な爪あとを残して、『優勝するな』と思ってたからな」(濱家)

「(関係性が)近い人が行くとね」(山内)

「でも今考えたら、優勝してた方がよかったな、和牛は」(濱家)

「もう和牛の話はやめよ、暗くなるから」(山内)

 5年連続ファイナル、3年連続準優勝。輝かしい成績である。出場権利を2年残して、和牛はこの年で『M-1』を去っている。コンビの関係がほころび始めたのは、そのわずか1年後だった。これもまた、あくまで『M-1グランプリ2019』の余談である。

(文=新越谷ノリヲ)