■ぺこぱ、最後のドラマ

 かまいたち・和牛という最強の2組のはるか上をミルクボーイが飛んでいった。最終決戦に向かうのは、納得の3組だった。オズワルドとインディアンスはミルクボーイの余韻に飲まれ、残るぺこぱというコンビが誰だか知らんが、最強を決めるにふさわしい最終決戦になる。みんなそう思っていたはずだ。

 ぺこぱが登場して1分ほど、ドラマの予感を感じ始める。なんだかかわいいし、一生懸命だし、面白いぞ、この2人。見たことないぞ、こんな漫才。「急に正面が変わったのか」なんてボケ、好きすぎるぞ……。

「行けー!」と叫びながらめくれる得点を指さす2人を、いつの間にか応援していた。先ほどのえみちゃんの説教もあって、いつの間にか和牛を超えるべき壁に設定してしまっていた。爽快だった。和牛には申し訳ないが、強者に対する逆転劇はいつだって爽快なのだ。

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 最終決戦はぺこぱ、かまいたち、ミルクボーイの出順だった。この日の『余談』で、最終決戦を前にした余談がかまいたち・山内の口から語られている。最終決戦の出順は得点の高い順に選べるが、1本目の高得点に舞い上がり、テンションの上がり切ったミルクボーイの内海は1番手を選ぼうとしていたのだという。冷静な相方・駒場がたしなめて順当に3番手を選び、それぞれに2本目を披露する。

 ここでも山内はまだあきらめていなかったという。

「1本目ウケるけど2本目コケるパターンもあるやんか。もしかしてそれ、あんのかなと思ったけど」

 確かにある。08年のオードリー。敗者復活から9番手で彗星のごとく現れ、春日俊彰というリーサルウエポンを放ってトップに立ったが、2本目でそのキャラを引っ込めてNON STYLEの完成度に屈した。09年の笑い飯、1本目の「鳥人」で島田紳助の100点を引き出したが、2本目の「チンポジ」で準優勝に沈んでいる。

「でも1ボケ目のお客さんの反応で、うわ、これは厳しいなと」

 結果は7票中6票がミルクボーイ。完勝だった。