ところで能登大震災からひと月半が経とうというのに、まだ能登に春は来ない。

 復興の掛け声ばかり勇ましいが、永田町は口先人間ばかり。岸田文雄首相は被災地を忘れたかのように、再度訪れようとはしない。

 ワイドショーでは、首都圏直下型地震が起きたらどうなるかという想定シミュレーションをやるが、おいおい、その程度で収まる訳はないというものばかり。

 被害を大きく想定すればいいというわけではないが、新潮は、石川県の防災計画では大甘な想定がされていたため、被害が大きくなったのではないかと県や国の責任を追及している。

「<石川県地域防災計画、地震、災害対策編>
これは『地震の災害から県土並びに県民の生命、身体及び財産を保護することを目的』として、県の防災会議が作成したもの。石川県で起きる地震と被害を想定し、その予防と対策、復興計画を定めたものだ。防災会議のサイトにアップされ、300ページ以上の大部に及ぶ。
内容を覗くと、残念ながら、県がいかにこの地の地震について甘く捉えていたのかがよくわかるのである」(新潮)

 今回の能登大地震で動いたとされる断層は、半島北方沖の海底活断層で、長さは150キロ、マグニチュードは7.6だった。

 だが、防災会議のサイトにアップされた文書によると、県内で起きるものとして4つの地震を想定しているが、そのうちの1つが、「能登半島、北方沖の地震」。

 今回の震源と近いケースだが、ここで想定されている断層の長さは50キロ、マグニチュードは7.0でしかない。今回の地震とエネルギーを比較すれば8分の1と、極めて過小であった。それゆえに、

「今回の地震の死者は現在240名。住家被害の棟数は5万5000棟を超える。

 それに対して、防災計画で想定されていた『能登半島北方沖の地震』の死者数は7名、建物全壊棟数は130棟と信じがたい数字が並んでいる。さらには、災害の概況として、『ごく局地的な災害で、災害度は低い』と、今となっては、ブラックジョークのような文言すら記されているのだ」(同)

 なぜかたくなに地震の想定を変えなかったのか?

 県の危機管理監室危機対策課に尋ねると、「こちらでも見直しを検討していたんです」というではないか。

「国に能登半島沖の海域活動層についての長期評価を出してほしいとお願いしてきました。しかし、応じてもらえなかった」

 県も国も、危機意識が欠如していたということである。今回の地震で、否、毎度のことで、危機管理は県や国に任せておいていいはずはないということだ。

 自分の身は自分で守る。そうはいってもな…どうすりゃいいのさ思案橋である。