サンデー毎日で、ジャーナリストの青木理が警鐘を鳴らしている。

 政府の有識者会議が先ごろまとめた「経済安保分野におけるセキュリティ・クリアランス制度に関する有識者会議」という文書に重大な問題ありというのである。

「①『経済安保』の対象となる産業分野の『機密情報』を政府が指定し、その取り扱いは
『有資格者』に限定することとし、そのためのセキュリティークライアランス(適正評価)制度を導入する。

②こうした『適正評価』は特定秘密保護法で導入された。ただし、対象は防衛、外交、テロ対策などに限られてきたが、これを『経済安保』分野へと一挙に拡大する。

③同時に、従来はその大半が公務員だった『適正評価』の対象者を民間企業の社員や技術開発者、研究者らにまで大幅に広げる。

④その特定秘密保護法に準じれば、『適正評価』には対象者の精神疾患歴などのほか、飲酒や借金の有無、さらには家族らの国籍情報等々が含まれる。

⑤さらに『機密情報』の漏洩には罰則を設け、『特定秘密保護法の法定刑と同等の水準とすることが適当』だと有識者会議は提言。つまり最大で懲役10年の罰則までが想定される」

 青木にいわせれば、「はっきりいえば、世論の猛烈な反発を振り切って『一強』政権が成立を強行した特定秘密保護法の大幅強化であり、民間にもそれを広く適用する同法の全面拡大に向けた企てにほかならない」というのである。