『帰ってきたヒトラー』の見どころ
まるでヒトラーのドキュメンタリーフィルムをそのまま抜粋したかのような、オリヴァー・マスッチの迫真の演技が見どころです。立ち振る舞いやオーラは、本当にヒトラーが現代に蘇ったように錯覚させるほどの完成度です。そして、若者や女性に対して真摯に話を聞き、議論を交わす姿も印象的です。
分かりやすい意見と毅然とした態度で判断を下す姿は、威厳と親しみやすさを感じさせます。また現代のインターネットに触れてから、それを元に現代の情勢を把握し、国内問題へ鋭い意見を出す様子は妙な説得力を持っており、それに先導される国民の姿もよく描かれています。
『帰ってきたヒトラー』の映画と原作小説との違い
映画よりも原作小説の方が、何が起こっているのか分からない恐怖が煽られる部分が多く見られます。例えば、映画のようにヒトラーに楯突く人物が見られないことです。
ヒトラーのことを盲目的に信じる人ばかりで、映画では徐々にヒトラー熱が高まったのに対し、小説では一気に民衆の熱が高まったのも恐ろしい点です。
また小説では、ヒトラーのことを本物と見抜いたクレマイヤーの祖母が、おそらくヒトラーによって丸め込まれたのであろうシーンもあります。ユダヤ人の女性のことをヒトラーがどのように説得したのか、これも描写が詳しくない分、恐ろしさを掻き立てられる部分です。