ところで、これまでは、後輩たちのお膳立てしてくれた「女性紹介システム」に乗っかっていただけだと思っていた松本人志だが、今週の文春は、ごく普通のマッサージ店でも破廉恥なことをしていたと報じている。
これが事実なら、この男、異常に性欲が強いに違いない。
今年1月13日の昼下がり、警視庁の渋谷署の4階にある刑事課は騒々しい空気に包まれたという。
人気セラピストだったI子が、夫と共に松本人志から受けた“被害”を告発しに来ていたのだ。
I子を突如襲った事件の発端は2014年に遡るという。複数のリラクゼーションサロンを渡り歩き、アロママッサージの技術を磨いた彼女は当時、東京都渋谷区にあるサロン「S」の人気セラピストとして活躍していたそうだ。この店は大河女優や紅白出場のバンドマン、プロスポーツ選手など著名人が足しげく通う人気店だったという。
性的サービスは一切なく、純粋なリラクゼーションを目的とした個室マッサージ店で、女性客が2割以上を占めるそうだ。完全予約制でリピーターも多い。
そんなある日、2人の男が来た。一人はニット帽をかぶっていた。その男性をI子は個室に案内した。
「当時、私はお笑い番組が好きで、松本さんの番組をよく見ていました。舞い上がると同時に、『絶対に粗相があってはならない』と思いました」(I子)
一緒に来たのは、件の飲み会でも松本人志にべったりだった放送作家のXだった。
そのXの携帯電話から2度目の予約が入ったのは、同年の2月21日のことだったという。
自身の客を施術中だったI子は、その日初出勤の新人セラピストを松本に付けた。
しかし、しばらくすると彼女が泣きながら駆け込んできたという。
「彼女は『(松本から)一体いつになったら舐めてくれるの』とフェラチオを強要されたと言うのです。『断ったけど納得してくれないので、部屋から逃げてきた』と。前回の松本さんは紳士的だったので、『もしかしたら新人の誤解かもしれない』と、にわかには信じられなかった」(I子)
I子が謝るが、施術室を出た松本は苦虫を噛み潰したような表情で早々に退店していったという。
しかし、翌日午後、また松本が来店したというのだ。
I子が担当し、予定時間をオーバーして施術が終了した。彼女が膝をついて「お疲れ様でした」と言葉を発した直後、松本が左手で彼女の右手をぐいと掴み、陰部に当てながらこういったという。
「ええやん……。いつになったら舐めてくれるの?」
さらに松本は紙パンツを下にズラし、I子の手を自分の陰茎に持っていき、上下運動を強いたそうだ。
「私は恐怖で震え、局部から目を背けていましたが、さらに私の後頭部をつかんでぐっと局部に押し付けてきたのです。私は抵抗し、性的なサービスではないことを必死に説明しました。自然と涙が出てきましたが、彼は私の涙を見ても力を緩めなかった」(同)
さらに彼女はこう思ったという。
「松本さんは泣いて嫌がっている私の目をずっと無言で覗き込んできました。私は咄嗟に『昨日のリベンジに来たんだ』と思ってしまった。やがて私の口に陰部を押し付けてきて……。わずか十分間の出来事でしたが、地獄のような時間でした。私が涙を拭いていると、彼は無言でさっさと着替え、私のほうは見向きもしなかった」
I子は当時の葛藤を今でも時折思い出すそうだ。
「私はセラピストの中で一番経歴が長く、実質的な店の責任者。一方で、松本さんはトップクラスの芸能人で影響力がある。彼が本気を出せば、この店なんてすぐに潰されてしまう。恐怖に打ちのめされて私は正常な判断ができず、『私一人が犠牲になれば、お店にも迷惑がかからない』と考えてしまった」
当時、彼女は週6回出勤していたが、それには家庭の事情があったという。夫が白血病を患い、1年間の入院生活の末、自宅で療養を続けていたのだ。
そして夫に全てを打ち明けたという。
「夫と警察へ相談に行こうとしましたが、逆恨みされ、嫌がらせを受けるのではないかと恐怖心が勝ってしまった。店のオーナーも事なかれ主義で私を守ってくれず、ショックのあまり五日ほど出勤できませんでした」(同)
心のバランスを崩したI子は心療内科を受診した。診療した担当医が文春の取材に対し次のように明言したそうである。
「診断の結果、不安障害と判断しました」
I子はようやく夫と共に警察に行く決心をした。
話を聞いた担当刑事は夫を別室に連れて行き、次のように述べたという。
「強制わいせつ罪の公訴時効は七年。二〇一四年の事案では、すでに時効が成立しており、被害届を受理することはできませんが、性被害の相談という形で受理することはできます」
10年近くも悩んだ末に警察に話をしたI子の苦悩を思うと、やりきれない気持ちになる。