大崎前社長は「包括連携協定」を締結して以降の巨額受注についてどう答えるのか?
――四十一億円の受注も。
「知らん。知らんてことないけど、詳しく知らんし」
――社長として責任を持つ立場にあったわけだが?
「そうか。でもごめん、憶えてないわ」
だが、吉本興業は万博に肩入れしているように思えるがと質問すると、やや声を荒げたという。
「肩入れというか、国の催事やで! 決まったことやで! それが肩入れとか、いかにも悪いような論調が、おかしいんちゃう? 国の催事に参加すること、こんな名誉なっていうか、一国民としてそこに参加して少しでも役に立ちますっていうのは、何が悪いかっていうのがさっぱり分からへん」
日本維新の会と吉本の蜜月は、この国のためになるのだろうか? 疑問符が沸いてくるのだが。
そうした吉本興業内部のごたごたが深層下であるのだろう。松本人志事件で、吉本興業の対応の悪さが浮き彫りになってしまったと新潮が報じている。
これには、前の社長の大崎洋と、現在の岡本昭彦社長との“確執”が囁かれているが、それは後で触れよう。
新潮は、吉本興業というのは危機管理が苦手な会社であるという。
「以前、本誌が“怪芸人”中田カウスの暴力団との交際などについて報じた際には、NHKがカウス出演分の番組の放送延期を決定したにもかかわらず何ら会見等の対応をせず、関係者を唖然とさせた。2019年の『闇営業問題』の時は、岡本昭彦社長が5時間半にわたる記者会見を行ったものの、『史上最悪の会見』と揶揄されることに。そして今回、またしても、吉本の“危機管理下手”が満天下にさらされたのである」(新潮)
昨年末、週刊文春に報じられて以降、各所に甚大な影響もたらしているダウンタウン、松本人志(60)の「性加害疑惑」だが、記事が出た直後、吉本は「当該事実は一切なく、(略)厳重に抗議」するとしていた。
ところが、今年1月24日に吉本が公表した見解では、「当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めている」と、大きく軌道修正した。
「あんな内容のコメントになったのは、記事に激怒した松本が“事実無根と言うとけ”と言い、それに会社側が従ったからでしょうね。松本から“それでええねん”と言われたら、岡本社長は黙るしかありません。吉本における立場は、岡本社長より松本の方が圧倒的に上ですから」(吉本興業元幹部社員)
岡本社長はダウンタウンの元マネージャーである。しかし社長として、少なくとも対等の立場でモノがいえないのは、やはり歪な関係といわざるを得ないだろう。
昔の吉本興業はそうではなかったと元幹部社員が振り返る。
「昔の吉本では、芸人とマネージャーの間でもっとコミュニケーションが取れていました。怒られたり喧嘩することもありましたが、家族的な会社で、芸人に対してモノが言えないということは全くなかった」
その元幹部社員に芸人との付き合い方を指南したのは、吉本の中興の祖といわれる中邨秀雄元社長だったという。
「中邨さんがまだ役員だった頃、私を含む若手社員によくこう言ってました。『芸人のカバンを持つな。芸人を師匠と呼ぶな。この二つを徹底しろ』『お前らは芸人のカバン持ちとちゃう。プライドを持って仕事をせえ』と」
だがその関係が変わってしまった。
「ダウンタウンの二人と、彼らの才能を見出して育て上げた大崎洋前会長です。例えば、ダウンタウンの自宅まで迎えに行ったりするようになったのですが、そんな特別待遇はそれまでありませんでした。こうしたやり方が、今田耕司などのダウンタウン一派にも広がり、会社全体に浸透していったわけです」
出迎えぐらいならまだいいが、松本人志がやっていたといわれる、女性たちを集めて飲み会&SEX付き饗宴の数々も、吉本興業幹部たちが見て見ぬふりをしていたとすれば、事は、ジャニー喜多川問題以上の大きな騒ぎになるはずだ。