◆自分のための行動を「男のため」と回収されるつらさ

 とはいえ、自分のためにやっていることでも、他人の何気ない一言で冷めてしまう瞬間は往々にしてある。それが悪意なき言葉であっても例外ではない。たとえば2022年11月に放送されたドラマ『作りたい女と食べたい女』(NHK総合/原作:ゆざきさかおみ)の1話では、以下のようなやり取りがあった。

ゆざきさかおみ『作りたい女と食べたい女 1』(KADOKAWA)
 料理好きの野本ユキ(比嘉愛未)が職場で手作り弁当を食べようとした時、同僚の男性社員・森岡(中野周平)から「それ野本さんの手作りですか? すげぇ」と驚かれる。続けて、「野本さんって絶対いいお母さんになるタイプですよね」「良いな、俺も彼女にお弁当作ってもらいたいな」と口にした。

 この“賞賛”に野本は「自分のために好きでやっているものを、全部『男のためだ』って回収されるのつれぇな」と不満を覚えていた。