◆“自分らしい幸せ”がわからない人もいる

 相談者の中には、「もう無理~」と、ただただ責任放棄したい気持ちが募るだけで、その先のプランが無い人も多いのだとか。しかしそれも、緒方さんは「世代特有の価値観も関係しているのでは」と考えます。

「離婚がただの現実逃避になっているのは良くありませんが、こうした他責思考に近い発想は、その世代の人にややありがちな価値観も関係しているように思います。

『熟年』と呼ばれる方々は、ほとんどがバブル(1980年代中盤頃)を経験している世代です。この頃は今と違い、『自分らしさ』の追求をしなくても、そこそこのレールが用意されていた時代でした。

 具体的には、大手企業に就職し、結婚して退職し、出産してマイホームや海外旅行などを手に入れることが、いわゆる“幸せのカタチ”として浸透していた時代です。今になって『自分らしい幸せとは』を問われても、今まで『世間が思う幸せのカタチ』を追い求めていたため、どうしたいかが分からないというのはしごく当然です」

 熟年における離婚は、今の自分を見つめ、そして離婚後の人生を想像するところから始めることが大切です。緒方さんは、多くの人が心配する経済面や生活面の問題は、その次に考えていけば良いといいます。

 人生は長いからこそ、自分を置いてきぼりにするのをやめることが、離婚による満足度を高めるための一歩というわけです。