◆演じた笹は、たくさんの人に共感してもらえる役

林遣都
林さんは、週刊誌記者の笹憲太郎を演じる。

日本政府は故郷を追われた“惑星難民X”を受け入れるが、人間の姿をコピーして社会に紛れ込んだXが、どこにいるのかわからない社会で、人々は疑心暗鬼になっていく。そんななか、仕事で目が出ず追い詰められている笹は、Xを暴いてスクープを狙うために、Xの疑いのある女性・良子(上野樹里)に近づいていく。

「良子さんは今の世の中に必要な人で、笹にとっては多分、救いだったと思うんですよね」と林さん。笹は、調査対象として近づいた良子に、最初の時から、その“美しい行い”や“佇まい”に、自然と惹かれている。それは、彼自身に、純粋な部分があるからにほかならず、そうした本質を林さんは役に持たせる。

「笹は、仕事も生活もうまくいっていない人です。20代とは違った危機感や不安、焦りといったことを感じ出す年齢でもあり、共感できるポイントがたくさんありました。笹は人に認められたいという思いがすごく強く、その感情はもちろん自分にもあります。職業や環境は全く違いますけど、でも笹が抱いている感情は、理解できないということはありませんでした」。

結果として笹は、傷つけると分かっていながら、良子を傷つけてしまう。それについて林さんは「笹の場合、(施設に入っている)祖母の存在とか、いろいろあって……。誰かのためを思って、自分を犠牲にしなければいけないこととかって、誰しもあると思うんです。すごくたくさんの人に共感してもらえる役なんじゃないかと思います」と語る。

そして笹に共感できればできるほど、その苦しみも深く刺さってくることになる。