さらに続けて、
「検察は安倍派事務所の家宅捜索の際、松本(淳一郎会計責任者=筆者注)氏が記した“謀議メモ”を押収しています。それらの証拠を踏まえ、“特捜部のエース中のエース”と呼ばれる森本宏最高検刑事部長は、事務局長一人の判断で決められるはずはなく、事務総長だった西村氏の判断が強く影響したと見ていました。実際、検察は“謀議”の参加者に『そこで違法だという話は出なかった』のかなどと問い質しています」
西村たち事務総長経験者らの立件見送りの可能性も報じられてはいるが、それで終わりではない。
「検察審査会が心配だ」と西村は漏らしているという。
安倍派中枢がこう語っている。
「不起訴となった場合、検査審査会に申し立てされることは確実でしょう。そこで『起訴相当』や『不起訴不当』の判断が出る可能性もある。検察の再捜査で略式起訴され、罰金刑が確定すると、公民権停止となります。次期衆院選への出馬は事実上不可能になるのです」
まだまだ西村の眠れない夜が続くのだろうか。
朝日新聞Digitalの「天声人語」(1月20日 5時00分)にこうある。
――派閥は解消する。派閥事務所は本年末までに閉鎖する――。自民党はそう明確に宣言した。いまから30年前の1994年のことである。前年の野党転落を受け、人気回復を狙った窮余の策だった。さて、その言は守られたか。わざわざここに、記すまでもないだろう▼きのう岸田首相らが、派閥の解散を明言した。歴史は繰り返されるのか。ちなみに、70年代の福田政権でも派閥は解散している。リクルート事件の際には派閥解消の「決意」が示された▼2度目は悲劇、3度目は喜劇と言われるが、4度、5度となると何だろう。過去の本紙を見ると、永田町には「派閥解消と禁煙くらい、たやすく実行できるものはない」との言葉があったそうだ。「どちらも何度でもできる」という笑い話である――
派閥解消と禁煙は何度でもでき、3日も持たないというのである。
麻生派が解散しないのでは、ほかの派閥も解散ではなく、様子見でしかない。岸田文雄首相の声が虚ろに響くわけだ。