◆「女はね、95人アホですね」笑いのセンスだけで人の優劣を判断

 週刊文春の第一報で衝撃的だったのが、松本が初めて会った女性に対して「俺の子供産めや」と迫っていたとされることでしょう。その前段階で、自分のように才能豊かな人間が一夫一婦制に縛られるのはおかしいと語っていたとも同誌では言われています(2023年12月27日発売『週刊文春』より)。

『愛』では、“オレ”が特別であり、他の追随を許さない存在であること。その他大勢は踏み台にしかならないかのごとき論法を展開しています。

 もっとも顕著なのが女性に対する考え方です。ミソジニーなる言葉が一般化するはるか昔からあけすけに告白しています。

<僕が思うには、男は100人おったら、そうやなあ、70人か80人くらいがアホですよね。女はね、95人アホですね、うん。(中略)おもろい女いますか? こいつ、ほんまおもろいわって女。天然とかでなくて、ちゃんと計算して、フリもきっちりできて。そんなヤツいませんもん。なぜかというと、性欲がないからじゃないですか。つきつめていったら、笑いと性欲はつながってんじゃないかと思いますけどね。>(p.14-15)

 これこそ、松本人志の芸と人格が表裏一体であることを認めた発言だと言っていいでしょう。自己と他者を上か下かの関係でしか判断できない思考法。笑いのセンスの有無のみで人の優劣を決めることに何のためらいも感じていない様子からうかがえます。

 しかも、その「笑いのセンス」自体、松本個人の中でしか完全に理解できないものなのに、異論を寄せ付けない頑(かたく)なさがある。

 自らの才能に対する病的なほどの自信とこだわりを持っていると感じる理由です。