『D.P. -脱走兵追跡官-』が私に与えたリアル
そういうわけで、2021年の今、私がこの『D.P. -脱走兵追跡官-』を視聴した衝撃は大きい。
2014年の事件後、ここ数年においてはこうした風習は改善されている旨の記事も読んだ。
しかし、全てに言えることだが、私がこの目で見れないものの真実を私が知る術はない。
ドラマのラストに出てきた「滅共」。これも韓国兵役において大きな何かであると同時にこのドラマが伝えるべき根幹になるキーワードに違いないことは分かるのだが、調べても情報が少ない上、出てきた情報を読んでも理解するには難しすぎた。
コロナ前には月イチで韓国に遊びに行き、韓国の情報やニュースは日々細かく読み漁っているが、現地のリアルな生活や人間関係の在り方も知る機会はあまりなく、所詮ドラマやバラエティで垣間見てるわずかな情報から(しかも制作された番組で)なんとなく実感していたにすぎないと思い知った。
私は兵役含む韓国の文化と隣り合わせに生活しながら、当たり前だが断片のさらに一部しか知らなかったのだろう。
それは2020年に罪の意識なく犯罪に手を染めていく高校生を描いた『人間レッスン』を観た時にも似たような気持ちになったが、『D.P. -脱走兵追跡官-』はそれを後押しし、決定的なものにした。
韓国を好きになった日本人にとっての『D.P. -脱走兵追跡官-』
それでも、韓国を好きになって16年。
K-POPアイドルが入口ではあったが、今では韓国のカルチャーや言語、現地の人との交流も興味深く愛着をもって親しんでいる。
そして繰り返しになるが、私にとって兵役は身近だ。
だからこのドラマをきっかけに、兵役や韓国のカルチャー全般についてより正しく知識を身に付けようと思った。
韓国の映画評論家でコラムニストのキム・ドフン氏がこのドラマについて
「このドラマは、韓国がK-POPのキラキラしたテーマパークといった印象だけではなく、多くの問題を抱えた複雑な国であると世界に示すものです。世界の視聴者にバランスのとれた視点を提供するためにも、韓国の様々な側面を世界に示すことは非常に重要です」
引用:realsound.jp
と語っていたのをあとから知った。
私はまさにその対象者であろう。そして、それを知らされなくとも、このドラマを完走した後にはしっかりとその気持ちが沸き上がっていた。
私は韓国という国が好きである。このドラマは私に衝撃と虚無を与えたが、同時に自分の中の韓国への親しみと敬意を改めて知るものになった。
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