実際の試合は1分しか闘わないので技術や駆け引きが入り込む余地があまりなく、実力よりも個性や人気重視でほぼ素人の参加者も少なくないため、以前から格闘技関係者や格闘技ファンからは「あれを格闘技だと思われると困る」「エンタメショーであってプロ格闘技とは別物」といった苦言が相次いでいた。
 
 しかし、そうした批判を跳ね返すほど「BreakingDown」は若年層を中心に絶大な人気があり、ヤンチャな中高生の間ではプロレスごっこならぬ「ブレイキングダウンごっこ」が流行しているともいわれる。最近は豊富な資金力の恩恵か、ボブ・サップ、ジェロム・レ・バンナ、アルバート・クラウスら著名格闘家を招聘したことも話題になった。

 そうした風潮に対して、鈴木が「朝倉に圧勝したケラモフ」を破った上で、「真面目にやっている人が報われる格闘技業界にしたい」と宣言したことは大きな意味を持つ。朝倉についてはYouTuberとしても活動し、企業運営なども手がけていることから「いろんなことやってたら勝てない」「ひとつに専念しないとダメなんて古い考え方」などと賛否を呼んでいたが、ストイックに格闘技に打ち込んでいる鈴木が王者となったのは象徴的ともいえそうだ。