実際、試合ではスタンディングでケラモフが優勢に進め、パンチがヒットして鈴木がダウン。グラウンドでケラモフが上になったが、鈴木が下から一瞬のスキを突いて踵でケラモフの顎を打ち抜くという衝撃展開に。ケラモフは失神状態で崩れ落ち、鈴木がそのまま常識破りの「下からのパウンド連打」で1ラウンドKO勝利を果たした。

 新王者となった鈴木は、キックボクシングイベント「KNOCK OUT」の現役王者でもあり、異例となる立ち技と総合格闘技の「二冠」を達成。試合後、鈴木は夢だったという格闘技界の「二刀流」を実現できたことへの喜びを爆発させた。

 さらに、鈴木は今後の目標として、「子どもたちに未来を見せたい。今の日本の格闘技は不良が輝く時代になっちゃっていて、ヤンキーとかそういう人たちが表舞台に出て、格闘技の質を下げてしまっている。そうじゃなくて、本物が本当に格闘技をやって、遊びも全部断ち切って真面目にやっている人が報われる格闘技業界をつくりたい。真剣に格闘技をやっていけば夢をかなえられるという、そういうものを子どもたちに見せていきたい」と語った。
 
 「不良が輝く時代」「ヤンキーが格闘技の質を下げている」という言葉の対象は具体的に明かされてはいないが、誰もが朝倉が社長を務める格闘技イベント「BreakingDown(ブレイキングダウン)」を思い浮かべたことだろう。全国の不良や元アウトロー、喧嘩自慢などが集まり、1分1ラウンドの超短期決戦で闘う人気イベントだ。YouTubeで公開されるオーディション動画などでコワモテの個性的な人物たちの間に因縁が生まれるというドラマ性が人気の秘密で、500万回再生以上もザラというほど試合以上にそちらのほうが注目される。