一方、令和ロマンと紙一重の争いを見せたヤーレンズは、来年大きく環境を変えることになるだろう。年間300とも400ともいわれるライブ出演でネタを磨き続けてきたコンビだが、今年の『M-1』で完全に業界にバレてしまった。
楢原真樹のキャラクターと無限にボケ続けるマインドは明らかにバラエティ向きだし、出井隼之介の仕切りは即戦力である上にルックスもいい。2人ともキャリアがあり顔も広く、あっという間にテレビの世界に馴染んでしまうはずだ。叩くネタはいくらでもあるだろうが、一変する生活の中でどんな調整を積んでくるだろうか。
難しいのは、さや香だ。新山は「見せ算をやるために強いネタを作ってきた」と大会後に語り、今回の最終決戦でのネタ選びは気まぐれではなく、予選時から決めていたこだわりだったことを明かしている。一方で昨年の2本、今年の1本目で見せた石井ボケ・新山ツッコミの掛け合いスタイルでは「免許返納(昨年の1本目)以上のネタは作れない」とも語っており、今後の方向性に注目したいところだ。新山は「見せ算」では予選を通らないことも、よく自覚しているだろう。
従来のスタイルなら少なくとも準決勝進出は確実だろうが、新山がそれを選ぶかどうか。新たなスタイルの発明にも期待したい。
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